学生最後に車中泊でした日本0.3周旅まとめ
"星の旅人たち"や”グッバイサマー”、”マイフレンドフォーエバー”、”イントゥ・ザ・ワイルド”、”モーターサイクル・ダイアリーズ”などの旅映画が好きで、3年前くらいから旅に出たいと思っていました。
大学生活は忙しく、なかなか旅に出るタイミングがありませんでしたが、研究室の先生の理解もあり旅できました。
”学生が車中泊で日本を旅する”というのはまぁありがちな話ですが、一応まとめておいて誰かの検索に引っかかって参考になればと思います。
あと、最初に伝えておきたいのはとても有意義であったということです。思い出や感想等はあまりにも個人的な内容になるのでまとめませんが、人に勧めるくらいには有意義でした。楽しい以上に有意義でした。
以下、目次
以下のことを想定し、旅しました。
- 期間:3週間(10月)
- 予算:20万
- 車中泊メイン
- 基本1人
始めの数日は友人と
訪れた地に友人がいれば会う - 高速道路も利用する(但し、無料区間を優先的に利用)
- 安全第一(眠かったら運転やめてすぐ仮眠)
- 極端にケチらない
- 地方の友人と会う時は財布のひもを緩める
お酒飲むときは楽しむ - 小説の舞台をメインに周る
- 伊勢神宮とお墓参りは必ずする
かかった費用は合計23万ほどでした。以下、内訳(大体)
・高速料金:6万
・ガソリン代:4.3万
-軽油代132円/Lあたりの時期 燃費は悪い(8km/Lくらい)
-ちなみに、3200km(京都/岡山/出雲/香川/淡路島/神戸/大阪/和歌山/奈良/伊勢/飛騨高山/奥飛騨/長岡/湯沢/東京)をめぐってこのコストです。
・駐車料金:7千
・飲食代(お酒込み):6万
5晩ほど友人と飲みました
・宿泊費(ゲストハウス/ユースホテル5泊分):1.4万
シガーソケットの調子が悪くスマホの充電のため宿泊
・観光(施設入場料等):5千
・厄除け:5千
・銭湯/温泉:5千
・お土産:2.3万
各地で日本酒を沢山買ってしまったための金額
・CD:3千
中古CDを途中で購入しました
・その他:5千
高速の飲み物とか、墓参りのお花とかとか
3. 車中泊旅行で思ったこと
車中泊で旅して良かったなというのが振り返った感想です。箇条書き+説明で以下にまとめます。
- 自由度が高い
車移動の良い点は自由度が非常に高いところだと思いました。駐車場もタイムズ等がネットで検索でき、料金や空き状況等も確認できるので観光地でも車の置き場所に困るということはありませんでした。京都や飛騨高山など各地の観光地で行きたいと思ったところが遠く、公共交通機関利用では少々面倒なところにも楽々いけました。 - 宿泊費が浮く
兄から借りたワゴン車で旅をしました。キャンプ用のエアーマットと、多機能ランプを買っただけで快適に車中泊を行えました。ラジオ聞きながら日記を書いたり、本を読んだりするのはとても最高でした。 - 10月じゃないと色々ときつそう
旅の初め、10月上旬は朝8時には社内が熱くて寝ていられなくなります。旅の終わり10月終わりは、深夜に社内がとても冷えます。10月は逆にそれ以外は快適だったので、これより季節が早かったり遅かったりすると暑かったり寒かったり大変そうです。 - これだけはあった方がよいと思ったグッズ
以下のもの以外で特別に買ったものはないです。毛布やまくらはいつも使っているものを持ち込みました。これで十分。
・エアーマット(Amazonリンク):
-簡単に空気入れられて便利 普通に熟睡できる
・ランプ(Amazonリンク):
-明るさ調整&スマホ充電の供給ポートもある
・100均のビニール紐:タオル干したり - お酒が飲めない
その土地の日本酒を飲んだり、試飲することができない。以外と辛い。スーパー銭湯上がりとかに食事処で一杯やってる人々が最高に輝いて見える。 - 特に目的なくても大きなものを得られる
これは特記しませんが、自分は大きなものを得られました。この旅をしてなかったら感じなかったようなことを感じ、思わなかったことを思いました。
あとがき
ガチガチの車中泊ではなく、普段乗っている車にエアーマットとランプだけを買って旅をしました。それでも十分寝れましたし、楽しく旅できました。お金に関して、当初の予定取り減りが早く3カ所ほど行くのをあきらめた場所があります。なので、お金に関して誰かの参考になれば良いなと思います。
好きなもの:バンド-"Twin Peaks"
研究が忙しいのもあり週1で書こうと思って始めたブログを長いことさぼっていました.まぁこれからも気の向いた時に書いていければなぁと思っています.
色々時間を見つけて勉強していることはありますが,今回は好きなものについてまとめます.
今回まとめるバンドは最高に好みドンピシャなバンド”Twin Peaks”についてです.
以下,今回の目次
- まずは出会い
- 好きな理由/ポイント
- Twin Peaksの基本情報
- 好きな曲紹介
●Twin Peaksにはまったきっかけ
高専の最終学年になり卒業研究をしていた時,画像処理系の研究でパソコンに向かっていたので常に何かしらの音楽を聴いていました.以前の好きなもの遍歴のブログでstorkesから繋がってTwin Peaksを聞いたと書いていましたが,よくよく思い出すと違いました(ある意味フォロワーでもあるので間違ってはいないけど...).当時,ラジオと共に色々な音楽を探っていた媒体があり,それがINDIENATIVEというサイトです(以下リンク).
ここである日,Twin Peaksの”Flavor(Indienativeの記事)”と出会いました.いやぁGoodなPVとGoodな曲に惚れたのを思い出します.
●好きな理由/ポイント
次のつの点で好みがズドーンと真ん中でした.
- 聞きやすく耳なじみのいい曲(シンプルなコード進行)
- Goodなメロディー
- 音数が必要な分しかないGoodなリズム隊
- ローファイな音
- 飾らない等身大の歌詞,姿
音楽理論とか詳しくないですが,とにかくGoodなメロディーなのです.変な言い方だと思いますが後の曲紹介での曲を聴いてもらえれば分かると思います.
日本でピコピコして軽快でダンサンブルなバンドや,怒涛のテクニックによる熱いバンドが流行っている中で(嫌いではないです),Strokesなどが好きだった自分には,音数が少なくGoodなバンドであるTwin Peaksが好きになりました.
●Twin Peaksの情報
えぇ,ここらへんはWikpediaなんかのウェブ媒体を参考にして書きます.USロック好きの人は知っているかもしれませんが,なんせ日本ではあまり知られていないです.
引用:Twin Peaks(オフィシャルサイト)
- メンバー:現在は5人でドラムの人以外リードボーカル曲がある(凄い!)
・Cadien Lake James:右から2番目でかい人/ギター/中心メンバー
・Clay Frankel:1番右/ギター/メインボーカル/なんか好き(主観)
・Jack Dolan:1番左/ベース/声渋 実は一番やべー奴だと勝手に思ってる
・Colin Croom:真ん中/キーボード/ギター/クレイバーな雰囲気好き
・Connor Brodner:左から2番目/ドラム/絶対良いやつ - 簡単な来歴
・James Dolan Bronder Frakelらは同じ地域で育っておりお互い顔見知りだった
・Jamesが子供の頃からの友人DolanとBrodnerと高校の時にバンドを組む
・シカゴのDIYシーン界隈でギグを重ねる(Friendというバンド名)
・Brodnerと同じ高校に通っていたFrankelは他のバンドを組んでいたけどTwin Peaksの面々が自分のバンドに招き入れる[インタビューより]
(・ちなみに,この時期JamesとDolanは大麻を吸って高校から謹慎させられる.このとき一緒に謹慎させられた友人が今や世界的に有名なChance the rapper!!!しかもこの謹慎期間に作った曲で有名になったチャンス!!凄い話)
・大学に行く/中退する/LAぶらつく/シカゴに戻るそして,
・デビューアルバム"Sunken"を作成
・続いて”Wild Onion”をJamesの家(誤訳の可能性あり)作成 各媒体で評価される
・2014年のフェスPitchforkで脚光を浴びるようになる
(この時,今となっては忌まわしきorwellsのLiveで骨折したままJamesはステージに立つ?)
・UKでツアーしたりしてさらに力をGoodな感じで付け,プロデュースもしてくれてたCroomがバンドに参加(2015年)
・3rdアルバム”Down In Heaven”をリリース 初のTVショー
・Frankelの体調が悪くなって活動が少し落ち着く
・Frankelの体調も回復し4thアルバム”Sweet '17 Singles”をリリース
(・そして20XX年,日本来日!!(願望)) - バンド名の由来
日本でも有名なデヴィッド・リンチの”Twin Peaks”がありますが,由来ではないようです.SFO行ったときに”Twin Peaks”という丘がありましたが,これもまた由来ではないようです.シカゴのチェーン店”Twin Peaks”がバンド名の由来とのこと.ちなみに,このチェーン店はフーターズみたいなセクシーなお姉ちゃんがいるお店でFBページを見てもらえばわかると思いますがもういわゆるあれです.本人達はcoolな名前で気に入っているみたいです. - ディスコグラフィと個人的感想
スタジオアルバム
・Sunken(2013):全体的に若い感じのノイズ感,このノイズ感に耳が痛い気がするけどとがってる冬っぽい青春って感じで良き
・Wild Onion(2014):出会いのアルバム,最高にGoodなサウンド/メロディー/リズム,夏っぽい青春
・Down In Heaven(2016):これまた最高にGood...(略),前作よりメロウで泣ける青春って感じ
・Sweet '17 Singles(2018):これまた最高にGood...(略),前作よりも繊細な感じ,質も高い気がする
●(特に)好きな曲紹介
彼らの魅力の言葉にしにくい部分がわかるのでLIVE映像を探してまとめています.
ほとんど全ての曲が好きですが,ブログにまとめる気力がある分だけまとめます.
- Wanted You (Down In Heaven)
Twin Peaksの代表曲.リードボーカルはFrankel.シンプルな3つコードで進行される曲(DDEm GGG DDEm GGD).そこにJamesのGoodなメロディーとFrankelの感傷的な詩が乗っかり素晴しい曲になっている.コーラス部分では”I wanted you, but you didn’t want me…”と,切ない歌詞が歌われて,2番のVerseでは”A purple cat comes floating down the stairwellWith his blue eyes shining bright, suddenly I feel alright…lookout”と叫ぶ.そんなことはないはずなのになぁ 青春って感じ. - Tossing Tears (Sweet '17 Singles)
こちらはJamesがリードボーカルの曲.そもそも収録されるアルバム”Sweet '17 Singles”は,17歳のセンチメンタルというテーマがあり,例に漏れず泣き曲.メロウながらもどこか寂し気なコード進行で進む.歌詞の方は,Verse1~3まであって最後の部分で”I know I have no idea / The way I'm tossing tears”と歌い上げ,アウトロはただひたすら”Na na na ...”と歌う.”Na na na ...”と歌うしかない,そしての”Na na na ...”に全ての意味が詰まっているような気がしてる. - I Found a New Way (Wild Onion)
リードボーカルはFrankel.Apple Musicのランキングで1位という人気曲.そしてPVが最高.すごく好き.曲の方はGDAの3つのコードで押し進み,”新しい行く道を見つけたぜ,俺らは最高だ!”と言っているような歌詞とメロディー.大好き.大学進学後にL.Aをふらついてシカゴに戻った彼らが,どこにいても俺は進むぜと言わんばかりの曲. - Making Breakfast (Wild Onion)
リードボーカルはFrankel.PVのFrankelが好きだけどやっぱり彼らはLIVE映像.個人的に,夏休みとかの多幸感にあふれる中でリラックスしながら,ぼーっとしながら庭をながめる朝を感じる.(ちなみに埋め込みのyoutubeの次の曲は出会いの曲,Flavor) - In the Meadow (Sweet '17 Singles)
こちらのリードボーカルはクレイバーで多才なCroom.歌詞は正直しっかり理解できていないけど,ラブソング.そしてなによりライブ映像が最高.アウトロのインスト部分最高.Dolanが気だるそうにマラカス投げてFrankelがビール缶を蹴っ飛ばす!最高にCool(もちろん音楽がね).Twin Peaksの新たな方向性として評価されているみたい.そしてこの方向性も好き. - Blue Coupe (Sweet '17 Singles)
こちらのリードボーカルはDolan.そしてこれも人気曲みたい(youtube,Apple musicから).GENIUSという歌詞/歌詞考察サイトを見ると,どうやらドラックで死んでしまった友人について歌っているみたい.切ねぇ... 空を見て彼らが死んでしまったことを実感し,忘れまいとしているらしい... 切ないけど素敵な曲. - Shake your Lonely (Sweet '17 Singles)
Frankelがリードボーカル.彼らの幼馴染の女の子(Marisa Nakamura:めっちゃ日本人名だけど情報得られず...)の美しいボーカルが入ったTwin Peaksの中では珍しい曲.女の子目線の曲でもある(歌詞をみるに).こちらはかなりスローなテンポで,シンプルなコードで,Goodなメロディーの曲.曲だけ聞くと悲しげな,孤独な曲に聞こえるけど”It's gonna be, gonna be, gonna be, gonna be good”と歌ったり,”I know that I'll be the only girl To shake your lonely heart”と未来を見ている前向きな曲.GENIUSの方にも過去の恋で落ち込んだ自分を取り戻す曲といった考察がされている.悲しげでも美しく強い曲で好き.
あとがき
最初のブログで書いたように,好きなものについて好きなように深堀しながらまとめるのがすごく楽しかった.そしてインタビュー記事とかのおかげでかなり英語の勉強にもなった(アメリカのスラングとか).Twin Peaks,本当に良いバンドだからもっと日本でも有名になって来日してもらいたい(フジロック似合う気がする).Twin Peaksの”Wanted you”をカバーして,それでJamesがプロデュースしたCalpurniaというバンドの方が有名になって来日するし早くTwin Peaksも...(ちなみにCalpurniaは,ストレンジャーシングスで有名な俳優Finn Wolfhard 率いるバンドで曲最高で好きです.Calpurnia - Greyhound (Official Video) - YouTube)
勉強まとめ:歴史-イスラーム圏の歴史
イスラーム圏の歴史を勉強しました。これまでのアジア史、ヨーロッパ史と違って地名がすんなり頭に入ってこなかったりしました。また、イスラーム圏には行ったことがないので、行きたくなりました。
(参考文献 / [1]参考書:エリア別だから流れがつながる世界史、[2]サイト:世界史の窓)
以下、今回の目次
1. イスラーム圏の歴史:流れまとめ
調べれば色々な区切り方(古代、中世、近世)があると思いますが、今回も完全に主観で以下のように流れを区切りました。
また、文中で説明を付け加えると流れが悪くなるので先にいくつかの語句の説明を簡単にしておきます。
・アッラー:イスラーム教の唯一神
・ムハンマド:イスラーム教の創始者
・カリフ:ムハンマドの後継者、イスラム教国家の最高指導者
・ムスリム:イスラーム教徒
・アラブ人:イスラーム教がおこったアラビア半島の人々の意味だが、アラビア半島出身のムスリムを指すこともある
・ユダヤ人:ユダヤ教徒
・シーア派:少数派、暗殺された4代目カリフの子孫こそがカリフであるとする人々
・スンナ派:シーア派以外の多数派
イスラーム教の広がり
- イスラーム教の始まり([1]p.202-203)
6世紀後半に、東西貿易の交易地点として栄えていたアラビア半島の都市メッカでムハンマドは生まれた。瞑想をしていた40歳頃に天使を介してアッラーから啓示を受け、イスラーム教を起こした。 ([1]p.202引用)やがて「種族や階級、貧富に関係なく、神の前では人はみな平等である」という教えが多くの人に支持され始め、次第に勢力を拡大した。ムハンマドが生きている間にアラビア半島のほとんどでイスラーム教は広まっていた。 - カリフによる統治と勢力の拡大([1]p.202-203, [2]正統カリフ時代)
ムハンマドの亡き後の統治はムスリムから選ばれたカリフが行うことになった。このカリフが正しく選ばれ厳しく教えが守られた時代を正統カリフ時代と呼び、この時代にこのカリフの指導によってアラブ人はアラビア半島以外(現在のエジプト、イラク、イラン)にも勢け拡大していった。正統カリフ時代が終わるとウマイヤ朝が起こり、アフリカ大陸の地中海沿岸を経由してイベリア半島(現在のスペイン/オランダ)まで勢力を拡大しアラブ帝国と呼ばれるようになった。 - イスラーム帝国と歴史的意義([1]p.206-207)
ウマイヤ朝(アラブ帝国)では、アラブ人ムスリムが優遇されており内部で不満がたまっていた。そしてウマイヤ朝は滅ぼされ、アラブ人の特権を無くし、ムスリムみなを平等とみなすアッバース朝が生まれる。ウマイヤ朝がアラブ帝国と呼ばれているのに対し、アッバース朝はムスリム(イスラーム教徒)みなの国であったためイスラーム帝国と呼ばれた。またアッバース朝の時代にアジアの唐と激戦を繰り広げ、勝利したことで中央アジアにおけるイスラーム勢力支配を確立した。この戦いにはもう一つ需要な意義があった。それは、製紙法がイスラーム圏に伝わったことであり、後にヨーロッパ世界へも紙が伝わることとなる。 - 高度なイスラーム文化/科学の発達([1]p.210-211)
この時代のイスラーム圏ではカリフが学問の振興に注力したため、イスラーム文化、科学が発達した。9世紀には研究施設である「知恵の館」が設立されていた。また、インドから0の概念や10進法が導入された。さらに、現在全世界で使用されるアラビア数字が誕生したのもこの時期である。このように世界の知識/知恵が集まっていた。その後の十字軍遠征などで集まっていた知識/知恵がヨーロッパに伝わったことでヨーロッパの学問がのレベルが向上した。
オスマン帝国の興隆と衰退
- オスマン帝国の興隆([1]p.212-213)
イスラーム圏は一度モンゴルの支配下におかれるが、その後、トルコ人によるオスマン帝国が生まれた。オスマン帝国はビザンツ帝国(東ローマ帝国)を滅ぼし、バルカン半島までもを支配する大帝国となった。オスマン帝国では異教徒を宗教別の共同体(ミレット)に分けて自治を与えていた。また、キリスト教徒の少年をイスラム教に改宗させた後、官僚や軍人に育てていた。このように、異民族、異教徒に対して寛大な政策を行っていたため体制が強化され、社会は安定した。オスマン帝国が全世界に与えた影響としては、地中海の制海権を握りヨーロッパとアジアの交易路を掌握したことがある。十字軍遠征から東西の交流が盛んになっていたが、オスマン帝国の交易路の掌握はヨーロッパ-アジアの交易に大きく影響し、大航海時代を引き起こすきっかけとなった。 - オスマン帝国の衰退([1]p.220-221)
上記のように寛大な政策を行っていたことが却ってあだとなり、官僚や軍隊の肥大化や腐敗をもたらし、帝国内部に問題を抱えることになった。また同時に、大航海時代によって新大陸やアジアと交易を行ったヨーロッパが力をつけたことで、それまでの形勢が逆転した。さらにイギリスで産業革命が起きると力の差は歴然となった。こうした中、オスマン帝国は近代化を図ったが成果は挙げられず、クリミア戦争やスラブ人、アラブ人による民族運動などで国内は疲弊/混乱していた。このようなことあって、オスマン帝国は弱体化してしまった。
イギリス三枚舌外交からイスラエル建国まで
- イギリスの三枚舌外交によるイスラーム圏の混乱([1]p.222-224)
イギリスはWW1時に三枚舌外交を行った。アラブ人に対しては”フセイン=マクマホン協定”を結び、戦後にアラブ人国家の建設を承認した。ユダヤ人に対しては”バルフォア宣言”を行い、パレスチナにおいてユダヤ人国家の建設を支援すると宣言した。そしてフランスとロシアとは”サイクス=ピコ協定”を結び、オスマン帝国の分割管理とパレスチナの国際管理地域化を約束した。戦後にまず実行されたのはサイクスピコ協定であり、オスマン帝国領を民族などを考慮せず直線的に分割した。このことにより、クルド人問題や反英/反仏感情と民族意識が高まった。また、この直線的な分割は民族の問題だけでなく、イスラーム教のスンナ派、シーア派なども考慮しておらずさらに混乱を招いている。 - 西アジア諸国の独立とパレスチナ問題の発生([1]p.224-225)
民族意識が高まった結果、トルコ、エジプト、サウジアラビアなどが独立を成し遂げる。この時、イラクの実質的支配権をフセイン=マクマホン協定の約束を守るためフセインの息子ファイサルに与えており、イギリスの統治任期終了にともなって独立した。また、バルフォア宣言に基づきイギリスの委任統治領だったパレスチナにユダヤ人が入植した。このことによってパレスチナに住んでいたアラブ人との対立が生まれ、今も続くパレスチナ問題が起こることになる。 - イスラエル建国([1]p.228-229)
前述のとおり、バルフォア宣言によってパレスチナにはユダヤ人が入植していた。しかしながら、もともとアラブ人が50万人程住んでいたため軋轢は生じていた。それでもイスラエルの建国を目指したのは、B.C.2Cにパレスチナを離れてから流浪の民となり各地で長年迫害を受けてきたため、安住の地を求めていたからである。このような背景がある中、1930年代になるとナチスの迫害から逃れるためパレスチナに入植する人がさらに増えた。戦後になると、ナチスの迫害によって600万人のユダヤ人が殺害されていたため、国際的な世論はユダヤ人に同情的になっていた。上記の長年の背景と、ナチスの迫害による同情的な世論からユダヤ人がイスラエルを建国することとなる。しかし、このことは正統カリフ時代からイスラーム教の土地であったため、アラブ諸国はイスラエルの建国を受け入れられなかった。
中東戦争以後の混乱
- 4度の中東戦争([1]p.231)
各国の思惑が入り乱れた結果、4度の中東戦争が起こる。第一次中東戦争はイスラエル建国に対するアラブ諸国の反発から生じた。その後の戦争も、欧米諸国の影響を強く受けるイスラエル(ユダヤ教)とアラブ諸国(イスラーム教)の対立構図になっている。様々な結果があるが、全体を通してはアラブ諸国のさらなる欧米諸国に対する反感感情、民族意識、宗教意識が強まっていくことになった。 - イラン=イラク戦争([1]p.236-237, [2]イラン=イラク戦争)
中東戦争以降、冷戦中のソ連との覇権争いの影響もあり、アメリカは中東での影響力の拡大を図った。このような中、アメリカはイランに対し影響力を強めようとした。しかし、近代化(資本主義化)による経済格差に不満を持つ労働者とともにシーア派がイラン革命を起こし、国王は逃亡した。次にアメリカは、このイラン革命が他国へ影響するのを恐れた。この時スンナ派政権であったイラクは、アメリカ同様にイラン革命の影響を恐れていた。そして、イラク(スンナ派政権)はアメリカの支援を受けイラン(シーア派政権)を攻撃しイラン=イラク戦争が勃発する。 - 湾岸戦争([1]p.242-243)
イラン=イラク戦争は8年にわたって行われ、両国は疲弊した。その間、アメリカはイラクを支援したが、イラクの負債は大きく膨らんだ。この負債があることから、イラクは豊富な石油資源があるクウェートに侵攻した。こうなるとアメリカは、イラクが必要以上の影響力を中東で持つことを危惧した。そして支援から一転、アメリカ軍を中心とする多国籍軍がイラクへの攻撃を行い湾岸戦争が始まる。ここまでのアメリカの傍若無人な振る舞いから、(中東戦争以後から続く)反米感情がさらに高まり、のちの同時多発テロを招いた。 - 同時多発テロ、アラブの春、シリア内戦([1]p.242-247)
湾岸戦争から生まれた「アルカイーダ」という組織がNYの世界貿易センタービルに突撃する同時多発テロが起こる。このことも影響し、アメリカはイラクが大量破壊兵器を保有しているという理由からイラク戦争を始めた。この強引な戦争も結果として「イスラム国」というさらなる過激派組織を生み出した。
一方でアチュニジアでの民主化運動をきっかけとして、アラブの春と呼ばれるアラブ諸国が民主化を求める運動がおこった。各国とも政権崩壊後の新秩序(政府)の安定化に苦戦しており、この政治的空白に過激派組織が入り込もうと思惑している。
アラブの春の影響を受け、シリアでも民主化運動が起きた。この民主化運動を行う反政府勢力に対してアメリカやトルコは支援を行った(っている)。一方でロシアは政権側(アサド政権)に回っている。さらに、イスラム国も政治的混乱に乗じて勢力を伸ばそうとしている。このように、「アサド政権(ロシア)」、「反政府勢力(米、EU、トルコ)」、「イスラム国」によってシリア国内は混沌とし内戦が長引いている。
- ヒンドゥー教世界:イスラーム教伝来以前([1]p.22-23)
遊牧民アーリア人がインダス川からガンジス川の流域に移動し国家を築いた。そこでバラモン教とよばれる自然神を崇拝する宗教がおこった。この宗教では聖職者に上位階級を与えたことから、この地域(現インド)での階級制度が始まった。そして、バラモン教や仏教、その他民俗信仰などを統合した宗教ヒンドゥー教が成立し浸透した。この頃は「ラージプート時代」と呼ばれる小国分立時代であり、各国の王は領民を支配するためにカースト制度を用いた。階級社会層(聖職者/戦士/庶民/隷属民)と、不可触民に分けた制度は1950年に禁止されるまで残っていた。長い間存在した制度であるため根強い「悪しき文化」として現在でも影響を及ぼしている。 - イスラーム教国-ムガル帝国の成立([1]p.214-215,[2]奴隷王朝)
ウマイヤ朝の時期にイスラーム教がインドにも伝来し、奴隷兵士出身者が皇帝となったイスラーム教国である奴隷王朝が成立した。その後もイスラーム国家が生まれては消えていった。16世紀に入り、強大なムガル帝国が生まれる。ムガル帝国ではヒンドゥー教徒に対して融和政策を進めたことで安定した社会を築いた。 - イギリスの植民地に([1]p.216-217)
安定のために融和政策を行っていたムガル帝国であったが、6代皇帝になると一転しヒンドゥー文化に対して抑圧政策を行ったため国内は混乱した。この混乱期の中、イギリスが支配地域を拡大していき1850年にはインドのほぼ全域を支配下においた。強引な支配によって反英感情が高まり反乱がおきたが失敗に終わり、植民地化された。 - 非暴力・不服従運動と独立([1]p.223,226-227)
イギリスがWW1勝利のために三枚舌外交を行った時期に、インドには戦争への協力を条件に自治権を与える約束をしていた。しかし戦後、自治を形式的に認めただけでこの約束はなかったかのようにされた。さらに民族運動を抑えるため、理不尽な法律(ローラット法)も作られ各地で抗議集会が開かれたが、武力で鎮圧された。このような中でガンディーは”非暴力・不服従運動”を展開し、宗教、カーストの違いを超えて民族をまとめあげた。これによって独立を成し遂げた。しかし、財政/軍事/外交の権限はイギリス側がもっており、”完全な独立”には至らなかった。 - インドとパキスタンの分離独立([1]p.238-239)
インドに対し莫大な負債を抱えたイギリスは植民地支配が困難となって権力を委譲した。これによって完全な独立を成し遂げたが、ヒンドゥー教徒を中心にしたインドと、ムスリムを中心としたパキスタンに国/人が分離することになった。国を分ける際に各教徒はそれぞれの宗教に合った国に移動を行った。この時に、両教徒間で大きな衝突がおこり多数の死者がでた。その後も3度の印パ戦争を繰り返し今でも両国間では緊張状態が続いている。
2. イスラーム圏の歴史:感想
- 近年のイスラーム圏の混乱について
欧米各国の思惑のせいで、混乱していることをしっかりと知ることができた。WW1後のオスマン帝国分割が様々な問題を生み出してしまっているから、欧米諸国は責任を取るべきだと思う。一方でもうこれ以上深くかかわらない方がいいのではないかとも思う。 - パレスチナ問題について
パレスチナ問題で、アラブ人が反感したことに一瞬疑問を感じたけど、”日本の皇居がある場所に急に違う文化を持った人々が大人数移ってきたら...”と考えると反感を覚えるのでアラブ人が悪いとかそういう問題ではないのだと思った。 - クルド人問題について
国を持たない最大の民族とも呼ばれるクルド人の問題は複雑で、”クルド人”と一緒くたにできない面もあって難しいなと思った。各国で少数派になって弾圧されている人もいれば、その影響でテロ行為を行ったりと難しい問題であると感じた。ジェノサイドが起きないように国際社会が注意しておく必要があると思った。 - 日本とイスラーム圏
日本に与えた影響というものが、ヨーロッパ史/アジア史を勉強した時と比べるとかなり少なかった印象を受けました。日本への直接的な影響は湾岸戦争によってPKO協力法ができたということで近年に入ってからの事柄でした。このように過去に深く関わっていない点と、日本の多くの人は一神教を信仰していない点から、欧米諸国よりもフラットな立場でイスラーム圏の問題に対応できるのではないかと思いました(現実はそう簡単ではないと思いますが...)。
3. イスラーム圏の歴史:今後深堀したいところ
- イスラーム教が広まった理由
- イスラーム教の現在
女性の地位が低かったり、西洋文化が禁止されるというのは耳にするが、それがなぜなのか気になる。「ペルシャ猫を誰も知らない」という映画にあるように、音楽や芸術の自由がないのは息苦しいのではないかと思う。
あとがき
イスラーム圏の歴史を勉強していると、良い言い方ではないですが、「かわいそうだな」と思うことが多かったです。ヨーロッパとアジアの間に位置し、資源も豊富であることで外部からの干渉が多く、混乱が生じてしまっていることを感じました。
また、イスラーム圏に行ってみたいと思いました。文化としてこれまで触れたことがないのでイスラーム美術やモスクを見てみたいと思いました。3月のインドの学会に参加できる可能性があるので、頑張って研究して行ければ良いなと思います。
勉強まとめ:政治-資源配分からみた政治の必要性
最近公開された映画「パンク侍、斬られて候」を観て(主題歌はセックス・ピストルズのAnarchy in the U.K.)「アナーキー最高、そもそも政治を執り行う必要はあるのか?」
とか思ったり、
「政治を執り行わずに市場の自由競争において”神の見えざる手”に任せておけないのだろうか?だって神だぜ?」
とか思ったりしていました。
勉強してみると、ちゃんと執り行う必要はあるみたいです。しかも、かなり腑に落ちました。政治大事。
今回も、以下の参考書を基にまとめます。
久米郁夫、川手良枝、古城佳子、田中愛治、真渕勝著、”政治学(New Liberal Arts Selection)”、有斐閣、2003年12月20日初版
以下、今回の目次
ここでの資源とは、政治関連の初めの記事で書いたような「主権者/国民(本人)」の利益や、利益を生み出すものです。この資源は天から平等に降ってくるものではありません。ここで、そもそも資源を平等にするのが正しいのか?という疑問が生じますが、社会の安定のためには必要だということが歴史を省みるとよくわかります。貧富の格差が一因になって社会が不安定になった例として、二二六事件、大塩平八郎の乱やファシズムの台頭などがあります(他にも多数)。
以上の例から、貧富の格差から社会が不安定にならないように資源の配分を行う必要があることがわかります。そして、どのように資源が配分されるのかは、以下の3つに分けられるようです。それぞれ例を考えてまとめてみました。
- 伝統的/倫理観に基づく配分
後輩や女性にご飯をおごるなどは現代の日本でもよく行われていることだと思います。イスラム教の五行の一つ喜捨は古くからある配分だと思います。 - 指令に基づく配分
会社として生み出した富を配分する際は、指令に基づき月給などで配分されるということがあります。他にも、社会主義国では財やサービスの配分が計画上で行われていました。 - 市場に基づく配分
古本屋を例にしてみます。極端な例としてこの世に古本屋が1つしかなかった場合、この古本屋に古今東西の珍しい本やら新品より安い本などが集まります。これは資源が一カ所に集まるということですが、それだけ儲かるならと新たな古本屋ができていき資源の配分が成されます。自由な市場では古本屋を自由にれる開業できるので、最初の古本屋を守り続けて資源が偏ることはありません。さらにこうなると、各種本の値段なども市場の自由競争の下で”神の見えざる手(スミスの言葉)”が働き、顧客から必要以上に資源を巻き上げることがなくなります。これが市場というシステムによる配分です。
はてさて、スミスは市場の自由競争の下では「神の見えざる手」が働くと述べています。”神”というからには万能なのだと思いますがそんなことはありません。「神の見えざる手」がうまく働く機能財は限定的なもので、自由競争のままでは失敗してしまう財もあります。財には2つの特徴によって分けられる4つの種類があります。以下でそれぞれの財についてまとめます。
- 財を種類分けする2つの特徴
1.排除可能性:他人が財を消費することを妨げられるかどうか
2.競合性:AさんがXという財を消費することで、BさんがXという財を消費できなくなること - 私的財(排除可能性あり/競合性あり)
身近な例として自動販売機があります。自動販売機は、お金がない人には飲み物を提供しないという排除可能性があります。また、コーラが好きなAさんが毎日たくさん買ってしまうと売り切れてしまい他の人(Bさん)との競合性があります。このような財は私的財と呼ばれ「神の見えざる手」が働く財でもあります。 - 公共財(排除可能性なし/競合性なし)
こちらの例は参考書そのままですが、防衛があります(p.40)。防衛の恩恵は全員が受けており(抑止力等)、特定の人から排除することは不可能であると同時に競合性はありません。このような財は公共財と呼ばれ、自由な市場のもとでは失敗してしまいます(後述)。 - 共有資源(排除可能性なし/競合性あり)
田舎での身近な例としては”ニラ”や”ヨモギ”があげられます。田舎ではあちこちにヨモギが生えているので排除の可能性はないですが、採ってしまえばなくなるので競合性はあります。また、ニラやヨモギ、山菜などは都内のスーパーなどでは値段がついて売られています。このような資源を共有資源といいます。 - 自然独占を生む財(排除可能性あり/競合性なし)
現代の若者には無くてはならない携帯(スマホ)の通信サービスは、利用料金を払わなくてはいけないので排除可能ではありますが、人が増えたからと言って利用ができなくなるわけではないので競合性はありません(厳密には通信量の競合がありますが...)。このような財は自然独占を生む財となります。自然独占を生む例としては、電波塔を始めに全国各地に建てた企業が圧倒的に有利なため自然独占が生まれてしまいます。
ここまで、4種類の財の種類をみてきました。ここでは、私的財以外の財が市場という枠組みにおいて資源配分に失敗してしまう例を挙げていきます。この市場の失敗をカバーするために政府/政治が必要となっていきます。
- 公共財(排除可能性なし/競合性なし):例)防衛
こちらは大変わかりやすく、ただ乗り(フリーライダー)を行うことができる問題が発生します。政府/政治を想定しない市場では個人の富を優先するような自由行動が行われるため、払うだけ損になります。払わなくても排除されるわけではないのでなおさらです。このような問題点があるため、政治によって「税金」、つまり代金を徴収することで、公共財/サービスは安定して提供されています。 - 共有資源(排除可能性なし/競合性あり):例)山菜
上記であげた例のように都会では値段がついて売れるため、ある一人の人が大量に採ってしまった場合、他の人が入手できなくなってしまいます。このように、自分の利益だけを追求する自由な市場では資源の枯渇と偏りが起きてしまいます。これを抑えるために、政治で決まり事を作って法的な拘束力を持たせることが必要となってきます。 - 自然独占を生む財(排除可能性あり/競合性なし):例)携帯(スマホ)の通信サービス
簡単な話、自然に独占が起きてしまうと利用料金の吊上げが起きてしまいます。経済的には問題がないことですが、資源の偏りが起きてしまう問題点があります。実際に、日本ではDocomo、au、Softbankがほぼ独占に近いシェア率を持っていましたが、電波の割り当てなどに政府が干渉し(政府が仕事をし)格安スマホ通信会社などがうまれています。
ここまでで、市場は資源を配分するよくできたシステムである、しかし失敗もする、その失敗をカバーするために政治が行われる、ということをみてきました。ここでは、市場が失敗するように、政治も失敗してしまう問題点を挙げておきます。
- モラルハザード
極端な例を挙げると、社会主義国の失敗です。政府が計画して/命令しておこなう事業では競争がないためモチベーションが保てず不真面目になってしまう問題があります。この現象がモラルハザードです。 - レントシーキング
ある特定の企業がある特定の政治家に働きかけ超過利潤(レント)を生み出す行為です。様々な規制を、特定の企業の都合の良いように排除したり新たに作ったり働きかける問題が生じます。これがレントシーキングです。上記の古本屋の例をもってくると、最初の1店目が利益の独占(レント)を図り政治家に働きかけるような行動がレントシーキングになります。実際に、よくワイドショーで取り上げれられる政治献金問題や天下りなどが生じています。
このように、市場の失敗をカバーする目的だった政治自体が失敗を起こしてしまう例もあるのです。市場の失敗、政治の失敗、どちらのリスクをとるかが以前のブログの「小さな政府」、「大きな政府」の対立軸にもなっています。その時その時によって小さな/大きな政府の評価は変わりますが、トランプ政権は「市場の失敗<政治の失敗」という考え方ではないかと個人的に思います(ナショナリズムの観点では市場の失敗を大きくみたりしているけど...)。
- 政治の必要性の流れのまとめ
資源配分が必要:社会の安定をたもつため
市場:資源配分を行う優れたシステムであり広く使われる
政治:市場の失敗をカバーするために執り行われる - 市場の失敗、政治の失敗
起きてしまうモラルハザード、レントシーキングの問題に加え、適切なカバーができなかった場合の政治の失敗も生じる
経済政策の評価を行う1つの基準として「市場の失敗」「政治の失敗」どちらにリスクがあるかを考える
当たり前ですがAnarchy in the JPN.とか歌ってられないなと思いました。資源配分が必要で、市場による配分には限界があって、政治が必要なんだと納得できました。そしてやはり、政治という学問では人間心理(モラルハザード/レントシーキング)も考慮していかなくてはならないところが難しいですが面白いと思いました。工学の研究では、数式で表されるのでそこに人間の感情はのっかりません。政治、難しいですね。
また、「小さな政府」、「大きな政府」の対立軸を考慮する際に「市場の失敗」「政治の失敗」を考えることで、ある政策/争点の評価が行えるが分かってよかったです。日本は「市場の失敗」「政治の失敗」についての議論より、「政治家の失敗」ばかり議論していて大丈夫なのか不安にもなりました。正直、小さな個人の政治家の失敗など無視してもいい気がします、政治で失敗してなければ。
好きなものまとめ:好きなもの遍歴
1番初めの記事に書いたように自分の好きなものもまとめてみたいと思います。最初の好きなもの記事はこれまでの遍歴振り返りです。これまで、客観的に自分の好きなものを振り返ってきたことがないので今から楽しみです。(意外と長くなりそうですが、自分向けなので...)
途中書いててとても長くなったので簡単な歴をまとめておきます。
内容は小学、中学、高専、大学時代とあとがきです。
- 小学生
デルトラクエストで小説の魅力に気づく
デュエルマスターズにはまる - 中学生
「ぼくら」シリーズ
「このミステリーがすごい」作品→伊坂幸太郎さん→ビートルズ→音楽 - 高専
音楽:アジカン→バンド/サブカル/ロック→ラジオ→The Strokes
小説:米澤穂信さん(古典部シリーズ/ボトルネック)
映画:(アジカン主題歌映画)→インターステラー→映画にはまる - 大学
音楽:The Strokes周り→Arctic Monkeys→ブリティッシュロック→(一周回って)→blur
映画:SF/青春映画/ドラマ (キネマ倶楽部/映画館巡り)
小説:米澤穂信さん→北村薫さん→純文学/有名どころ
その他:北村薫さん→落語 米澤穂信さん→美術館 等々
小学生時代
小学生から振り返ってみます。
低学年の頃、誕生日でもなんでもないとある日に突然、父親がポケットモンスター金銀を買ってきて兄と自分に「どちらか好きな方やってみなさい」と言いました(後から知りましたが父親はゲーム好きでした。)。忘れもしません、玄関と駐車場の間の小さい坂でいきなりこのようなことを言われたのです。よくケンカをする年子の兄弟でしたが、すんなり兄が銀、自分が金をもらいました。攻略本の存在も知らなかったので兄と父と一緒にゲームをしたのを覚えています。
そして中学年の頃、自分の人生の中でもかなり重要なものに出会います。それは”本”です。こちらもまたある日父親から、「このかっこいい本読んでみな」と"デルトラクエスト"という小説を渡されます。装丁がかっこよかったのですが、読んでみるとストーリーがとてつもなく魅力的で、本の世界に取り込まれました。父も自分の後からこの本を読んでいて一緒に感想を言い合ったのを覚えています(特に”いましめの谷”という作品)。3部作を全て読み切り本の魅力のとりこになってしまい、その後様々な児童向けの小説を読みました。今でも印象に残っているのは”宇宙人のいる教室”、”ダレンシャン”、”ドラゴンラージャ”あたりです。この小説との出会いは今のところ、自分の人生で一番大きな意味をなしていると思います。この後の好きなもののとっかかりは全て人ではなくで小説からだからです。
高学年になると山田悠介作品にはまります。当時出ていた作品は全部読みましたし、新作が出ると買うか、図書館で借りて読んでいました。本以外ではデュエルマスターズというカードゲームにはまりました。本当に、本当に楽しかった記憶があります。それまでは外で缶蹴りとか田んぼ遊びとかしていたのに、デュエルマスターズが面白すぎて学校以外の場所ではどこでも、台風の中でもカードゲームをしていました。デュエルマスターズは純粋に一番楽しんだ遊びかもしれません。30kmくらい自転車を漕いで街へ行き大会に出たりした懐かしい記憶があります。
●小学時代まとめ
やはり本に出会った影響が非常に大きかったと思います。今思い返すと、国内外の昔ばなし全集みたいなものがしれっとリビングにおいてありました。そして、それを低学年の時点でよく読んでいた気がします。絵本をよく読んでもらったわけでもないので自発的に読むように仕向けられたかもしれません。このように押し付けることなく、父親が本が周りにある環境を作ってくれていたことに今は非常に感謝しています。
中学生時代
中学に入るとまぁ反抗期なわけですが、本だけは両親が買ってくれたので色々読みました。1年の頃にはまったのは"ぼくらの七日間戦争"から始まる宗田理さんの「ぼくら」シリーズです。2,3年の頃は”このミステリーがすごい”の作品をよく読みました。図書館に通うようになりいくつもの素敵な本に出会います。今でも印象に残っている作品はヒキタクニオさんの”My name is TAKETOO”、式田ティエンさんの”沈むさなか”、山下貴光さんの”屋上ミサイル”、伊坂幸太郎さんの”ゴールデンスランバー”あたりです。
そして特に作者読みしていた、伊坂幸太郎さんの作品から”ビートルズ”にはまります。伊坂幸太郎さんの作品にはビートルズ作品がよく出てきたのでこれはもう聞くしかなかったのです。両親が赤版青版のレコードを持っていたりもしましたが、2009年9月9日にオリジナルアルバムのリマスター版が発売されたことが非常に大きかったと思います(今思うと色々とタイミングが良かったです)。もちろん中学生に買うお金はなかったのでTSUTAYAで全て借りてiPodに入れて四六時中聞いていました。このビートルズから”音楽”、もう少し絞るとポップミュージック、ロックにはまることになります。ビートルズいいなぁと思うきっかけになった曲は”Ticket to Ride”で、他に好きだった曲は本当にたくさんありました。初期から後期、ジョン、リンゴ、ジョージ、リンゴのどの曲も好きでした。
●中学時代まとめ
中学時代の本は結構印象に残っています。”My name is TAKETOO”の最後のシーンの感動は今でも鮮明に覚えています。しばらく息ができなかったです。また、本が逃げ場になってくれるようなこともありました。そして、ビートルズを聞くようになったこと/そのきっかけを与えてくれた伊坂幸太郎さんの影響も大きかったと思います。
高専時代
●音楽
高専に入る頃になると、きっかけを覚えていませんがアジカンにはまります。このアジカン好きであったことから友人からバンドに誘われギターを手にします。高専1年の11月くらいでした。始めに誘ってくれた友人とは結局バンドを組みませんでしたが、ぽそぽそとギターを弾いていると、2年の後半あたりで他の人から誘いがあって始めてバンドを組みました。そして3年生の文化祭に出るためにデモテープを撮りました。とても緊張したのを覚えています。始めてバンドでコピーした曲はTHE BLUE HEARTSの”夢”です。
とまぁいわゆる”ロック”というものにはまりました。もう少しいうとアジカンを筆頭にサブカルというものが好きだった時代です(e.g. 浅尾いにお/新海誠)。音楽の遍歴はまた別でまとめたいですが、邦楽は(アジカン/フジファブリック/NUMBER GIRL/BEAT CRUSADERS/andymori)をあたりをよく聞いていました。その後で洋楽も聞くようになります。洋楽はアジカンが影響を受けた(oasis/weezer/Foo Fighters)あたりを始めのころはよく聞いていました。音楽が好きになったきっかけはビートルズで、広がったきっかけはアジカンです。高専も後半に差し掛かると音楽が好きで好きでたまらなくなりラジオをよく聞いていました。このラジオからJamiroquai/Daft Punk/Linkin Park/The offspring/Vampire Weekend/Red Hot Chill Peppers/Pixiesあたりの有名どころを聞くようになります。そして、The Strokesに出会います(HPからもわかる絶妙なダサさ)。The Strokesだけ過去の好きなものと関りのない(ビートルズの直接的な影響をうけていない)異質なバンドでした。ここからガレージロックリバイバルで出てきたアーティストを聞くようになります(e.g. The White Stripes/The killers/Black Keys)。今振り返っても、ビートルズ、アジカン、ストロークスの3つの基底ベクトルから表せる音楽が好きなんだと思います。
アジカンから始まり色々なアーティストを聞いていたのが高専時代になります。最後に自分に影響を与えた曲を挙げておきます。
・ASIAN KUNG-FU GENERATION / ループ&ループ
・Oasis:Whatever,The Masterplan
・Weezer:only in dream
・Foo Fighters:Wheels
・The Strokes:You Only Live Once, Hard to Explain
●小説
中学の頃から”このミステリーがすごい”の作品を読んでいましたが、高専の時に米澤穂信さんにどっぷりはまりました。インシテミルと折れた竜骨以外はすべて読んだと思います。そのほかにも有名どころとして百田尚樹さんの永遠の0などは印象に残っていますが、小中に比べて読書量は確実に落ちました。漫画を読んだりギターをやったり友人と遊んだり料理にはまったり、あとは受験勉強があったりと読書に割く時間が少なくなったからだと思います。
●映画
高専の最後の頃になって映画にはまります。もともと小さい頃に家でネバーエンディング・ストーリーやバックトゥザフューチャーなどの映画を見ていたり、高専になってはアジカンが主題歌を務める映画を観たり、寮生活の中で友人と映画を観たりしている背景があってもともと映画は身近な存在でした。そして、どういった流れだったかは覚えていませんが、「インターステラー」という映画を映画館で観て激しく感動しました。そこから映画を週に何本か観る生活がスタートしました。ノーラン監督作品から有名どころを観ていました。映画が好きになったことで大学ではキネマ倶楽部に所属をすることになります。
●高専時代まとめ
圧倒的に音楽(ポップス/ロック)にはまり影響を受けた5年間だったと思います。それと、大学の好きなものにつながる映画やラジオを見聞きするようになったこともその後に影響しています。また、本から少し離れてしまいましたが、米澤穂信さんの作品は自分に大きな影響をもたらしています。折木奉太郎の省エネ主義(合理的な考え方)やボトルネックで描かれたテーマは性格や思考回路の一部になっていると思います。
大学時代
●音楽
何と言ってもApple Musicなどのストリーミングサービスが始まり、かなり幅広くメジャーなものからマイナーなものまで聞けるようになったのが衝撃でした。タワレコには行かなくなってしまいました。色々聞いてく中で、The Strokesから繋がってThe orwells、 Twin Peaksなどを聞いていました。自分の好みは大体わかるようになりました(e.g. バンドメンバーの内1人くらいはチェックシャツ着たら多分好き)。特に Twin Peaksはもうこれまでの好みの集約じゃないですけど最高に好きです。これと並行して、The Strokesの影響を受けたイギリスのバンド(The Libertines/Arctic Monkeys等々)を聞くようになります。ここから再度ブリティッシュロックを聞くようになります。そして、初めにアジカンから洋楽を聞くようになった時期に一通り聞いてはまらなかったThe Stone Rosesとblurというバンドの良さに気づきました、一周回って。特にblurにはドはまりして、学会でイギリスに行った時には地下鉄のJubilee Lineに興奮していました。Hyde Parkなんかもノリノリで歩きました。これらの洋楽と並行して邦楽もぽつぽつ聞いてました。今一番好きなのはThe Strokesの影響をもろに受けたDYGLというバンドです。他にも女性アーティスト(DAOKO/あいみょん/カネコアヤノ/やくしまるえつこ)なども聞いています。
今後ですが、90年代/00年代のバンドはかなり聞いてきたので徐々に年代をさかのぼるか、もっとニッチなバンドを見つけていくのではないかと自分では推測しています。
特に影響を受けたなぁと思う曲
・The Strokes:OBLIVIUS
・Twin Peaks:Tossing tears, I found new way, Shake your lonely
・blur:Young and Lovely, Universal, Under the Westway, Tender
・The voidz:Pyramid of Bones (ブログタイトルはここから)
●映画
大学は編入だったのですがキネマ倶楽部というサークルに入ります。この他にも尋常じゃなく忙しい宇宙版ロボコンを行っていたのですが、サークル活動というものを体験したく入りました。このサークルでは複数人で観るというのもあってコメディ作品をよく観てた気がします。ミスタービーンやジムキャリー作品なんかは印象に残っています。ロボコン活動が終わって時間に余裕ができると色々な映画館に行くようになりました。東京はいっぱい映画館があってそれぞれ魅力的で面白いです。好きな映画館はシネマシティ/二子玉川109/アップリンク渋谷です。キャラメルポップコーンの好みはTOHOシネマズ>109シネマズ>ユナイテッドシネマ>ヒューマントラストシネマ>シネマシティ>>>>角川シネマです。とまぁ映画自体の話以外だらだらと書いたでいかに印象に残っている作品を挙げます。見た本数は記録するようになって300本くらいです。
セッション/OCTOBER SKY/LIFE IS BEAUTIFULL/レナードの朝/「僕の戦争」を探して/GATTACA/この世界の片隅に/CONTACT/Growing Up Smith/善き人のためのソナタ/グランブルー
●小説
忙しい大学生活を送る中で高専の後半から続いて本をしばらく読まない時期がありました。そんな中、高専時代にはまっていた米澤穂信さんの”古典シリーズ”の最新作「いまさら翼といわれても」が出版されたことを期に約3年ぶりに本を読みました。そして、小説の面白さを再確認し、米澤穂信さんが影響を受けたという北村薫さんの「円紫さんシリーズ」に出会います。いわゆる”日常の謎”と呼ばれる日常に隠れる謎(ミステリー)とその謎に関わる人々の関係性などを美しい文で綴った小説で、理系学生には少々読みづらい部分もありますが、とても素敵な作品です。このシリーズの他にも北村薫さんの作品は色々読みました。特に直木賞を受賞した”鷺と雪”を含む「ベッキーさんシリーズ」にはかなり影響を受けたと思います。北村薫さんの作品から受けた影響は大学時代においての就活の軸や人生の目標決定に関係しているので非常に大きいです。特に、「六の宮の姫君」で主人公が長谷寺からの景色の中で菊池寛を思った場面や、「鷺と雪」で最後にベッキーさんが主人公に掛けた言葉などで自分の思考はかなり決定づけられました。他にも北村薫さんの作品には、他の様々な文学や文化的なものが出てくるため、好奇心が刺激され、これまで読まなかった純文学を読むようになります。そして太宰府の「女生徒」にどきりとさせられたり、川端康成の「古都」で儚い美しさを感じさせられたり、三島由紀夫の「潮騒」で完璧な小説というものに出会ったりしました。とまぁこちらはかなり作品名を既に出しましたが自分用に影響を受けた/印象に残った作品を挙げておきます。
・北村薫:鷺と雪 / 六の宮の姫君
・太宰治:女生徒 / 人間失格 / 待つ / 富嶽百景
・吉村昭:少女架刑
・西加奈子:サラバ!
・川端康成:古都
・三島由紀夫:潮騒
・芥川龍之介:往生絵巻
●その他
北村薫さんの円紫さんシリーズには毎回落語の話が出てきます(そもそも円紫さんが噺家)。この影響で新宿末廣亭の深夜寄席に月一くらいのペースで行くようになりました。落語はまだペーペーで、粗忽話が好きです。噺家さんだと柳亭こみちさん、春風亭昇吾さんが好きです。他にも、米澤穂信さんの「さよなら妖精」と少し関係のあるスラブ叙事詩の「ミュシャ展」へ行ったりすることから美術館に行くようになりました。美術系の好みは、アールヌーボー、浮世絵、ポップアートで、これらが混ざり合った大正モダン期の広告なんかは大好きです(e.g. 杉浦非水さん)。あとはラジオを毎日聞くようになりました。高専時代は音楽に出会うために聞いていましたが、大学になってからは芸人さんのラジオを聞くようになります。特にアルコ&ピースのラジオにはどっぷりはまり寝不足になることが多々ありました。
●大学時代まとめ
かなり忙しい日々を送っていますが、振り返ると文化的にも徐々に幅が広がってきている気がして嬉しいです。あと、東京に住むようになったことが大きかったと思います。
あとがき
こうして振り返ると長くなってしまいましたが、とても楽しかったです。そして振り替えって分かった意外だったことは、外部から受けた影響が唯一父親だったことです。びっくりです(母親からはスポーツや研究の影響を受けてます)。本に出会わせてくれた父親には感謝しています。それと、どの趣味もなんだかんだ繋がっているのが面白いです(外部から影響を受けてないから当たり前ですが)。また、自分の趣味と呼べるものが身の回りにあふれているいわゆる”大衆文化”というところにもなにか共鳴のようなものを感じます。それは、自分が好きであこがれる時代が大正時代であり、大衆文化が花開いた時代であるからです。
これからも、自分の赴くままに素敵なものに出会いたいです。それと、新しく他人からの影響をあえて受けてみたいなぁと思っています。
勉強まとめ:政治-対立軸/政治的コンパス
政治を執り行う範囲は非常に広く様々な対立軸があるみたいです。メディア等で日々、右派/左派、保守/リベラルのような言葉をよく目にします。そこで今回は、”対立”する考え方や主義思想をまとめます。
参考文献[1]
久米郁夫、川手良枝、古城佳子、田中愛治、真渕勝著、”政治学(New Liberal Arts Selection)”、有斐閣、2003年12月20日初版
以下、今回の目次
自分が普段研究を行っている分野は工学(生体計測)です。工学の分野では「問題」を解決する「手法」の評価は、「定量的」に行いやすいです(ほぼ確実に行えます)。なぜなら、同じ条件の下で手法を比較し最終的に数値結果を得ることができるからです(e.g. 画像の画素値)。一方、政治の世界では「問題」を解決する「政策」の評価は、「定量的」に行えないことが多いです。そもそも、これから未来に行う新たな政策の結果を得ることはできません。また社会というシステムは工学部で扱う問題のシステムに比べてはるかに複雑であるため、他国で行われた政策を日本で適用したからといって数値的に結果がよくなるとは限りません。ここに政治の難しさを感じました。しかし、だからといって投げ出すわけにはいきません。
そこで、複雑な問題を各争点ごとに軸を作ってその上で議論をおこなうようにします。このようにすることで幾らかは議論がしやすくなるので、主権者(国民)にとって大きな利点があります。また、メディア等によって主権者の代理人(政党)がどのようなことを行っているか監視しやすくなるといった利点もあります。
自分がこの軸を用いて議論を行う枠組みに対して以下のような数学との共通性を見つけ納得しました。それは、数学において「y=x+2」のx軸上の解が「x=-2」であり解答用紙に「x=-2」と書くように、政治においても「ある争点」の自分が正しいと思う解の対立軸の位置に「Aという政党が位置する」場合、投票用紙に”A”と書くということです。
主権者の観点からすると上記のような考え方が主なものだと思います。政党から見た場合はまた別の側面が見えてきますがこれは今回まとめません(票集めの方法)。
全ての対立軸/争点について詳細にまとめるには時間がなかったので有名どころを簡単にまとめていきます。説明の際には[1]p.28の図1-6を参考に、①政治的統制②経済的統制③文化/社会的統制の強弱を考えたいと思います。
- 社会主義⇔資本主義
・利益の生み出し方の考え方の違い
・社会主義:経済的統制が強い(計画経済)
利点:
貧富の格差の是正 不況の抑圧
欠点:
労働意欲の低下 生産性の低下による経済の停滞
・資本主義:経済的統制が弱い(自由競争)
利点:
自由な市場における需要と供給の一致 競争社会による経済の成長
欠点:
貧富の格差の拡大 不況サイクルの存在
・冷戦では世界を二分した大きな対立軸
〇ある程度実証が進み、資本主義によった経済が世界で行われる - 全体主義⇔無政府主義
・究極的な考え(非現実的)
・全体主義:全ての統制が極限まで高い
・ナチズム
・無政府主義:全ての統制がない
・アナキズム パンク - 保守⇔革新
・政治のかじ取りで未来を考えた時の違い
・その時々で内容は変わる(改憲が保守であったり、革新側であったり)
・統制の強弱は過去の強弱を維持するのが保守、変更するのが革新
・保守:現在の社会を良しとし現状維持を望む
過去の社会を良しとし昔へ戻そうという考え方でもある
・革新:リスクを抱えながらも新しい政策で社会をよくしようとする考え方 - 大きな政府⇔小さな政府
・政府が行う仕事量に関する考え方
・経済や福祉に関する考え方
・大きな政府:社会主義的 加えて福祉に力を入れる
例)北欧国家の医療制度と高税率
・小さな政府:資本主義的 自由/自己責任を掲げる
例)オバマケア以前のアメリカの医療制度
例)各種国営組織の民営化 - ナショナリズム⇔グローバリズム
・国際社会において自国に重きを置くか置かないか
・ナショナリズム:自国に重きを置く・文化/社会的統制が強い
例)アメリカンファースト
・グローバリズム:国境による区別をしない・文化/社会的統制が弱い
例)ドイツの移民受け入れ
・戦争などの争いに繋がる非常にデリケートな軸
旧ユーゴスラヴィアやルワンダなどのジェノサイドが発生することも
〇現在も様々な民族が虐殺にあう可能性がある(ロヒンギャ族の問題) - 保守派⇔リベラル(最近のアメリカ)
・保守
・過去のアメリカを取り戻す方向性
・トランプ大統領
・ナショナリズム:関税率の増加・移民政策
・キリスト教などの宗教でも保守的(e.g. 同性婚を認めない)
・上記のように書き出すと悪く見えるがそれぞれ救われる人がいて
支持が広がった(以下の記事参照) ・リベラル
・自由を求める
・政治/文化/社会的統制が弱め 経済的統制は強め
・グローバリズム
・多様性の容認 - 左派右派
・ある軸(争点)を持ってきたときにどこに位置するかを示す言葉
・その時々、争点によって変わる
・日本では
・右:戦後に大日本帝国へ戻る(改憲する)方向性を持った保守派のこと
・愛国的な考え方を持つものを指す
・左:戦後の新たな憲法を守る(改憲しない)方向性を持っていた革新派のこと
・売国的な思考を指すことがある...(連合国よりということで)
・上記を踏まえ、ネット上では現政権を支持するのが右派、批判するのが左派のようになっている
- 主権者(民衆-本人)側からみた場合
利点:
①各争点ごとに自分の考え方を把握し、投票を行うべき政党が明確になる
②主権者の代理人(政党)の行いを監視しやすくなる(メディアを通して)
欠点:
①メディアに踊らされてしまう可能性がある(メディア自体も軸上のどこかに位置している)
②軸の中心に位置する方が票が集まるため(正規分布的な考え)、中途半端な政策を掲げる政党が増えてしまう - 政党(政治家-代理人)側からみた場合
利点:
票集めのために、各争点でどこに位置する政策を掲げればよいかが分かる
欠点:
調べていないのでわからない(ないと思う) - 対立軸からわかる間接民主制の問題点
投票する意味がなくなってしまうことが理論上存在することが対立軸からわかる。これは間接民主制の問題点。以下に例を示す。
A、B、Cという政策の争点があり、X、Y、Zという政党があったとしよう。この時それぞれの軸で自分が選んだ位置に最も近い政党に投票を行う。各争点の軸上で自分の考えに一番近い政党は以下のようになった。
A:X>Y>Z
B:Y>Z>X
C:Z>X>Y
このようになってしまうと、自分がどこに投票してもABC全てを満足する政党が選べなくなってしまう。これがコンドルセが発見した投票のパラドックスという問題である。
少し前までは、世界的に見ても主に大きな争点が1,2個で平面上で議論を行うことができた。フランス革命とナポレオン戦争あたりでは、革新派は自由を掲げ、保守派は現行の体制を守ろうとした。日本でいえば、戦後の防衛や外交に関して保守(安保からの脱却/大日本帝国への回帰)、革新(安保の維持)の軸が主流となっていた。しかし現在では外交(周辺事態/貿易/安保)だけでなく、労働環境、環境問題、原発問題、移民問題、経済政策、地方/都市問題など多様で重要な争点が生まれており、n(>3)次元的な政治的コンパスが必要となっている。
参考文献[1]は2003年に出版されたもので当時もすでに複雑な社会であった。[1]では今後、複雑な問題がそれぞれパッケージングされてまとまり大きな1つの軸に収束する未来と、より複雑化する社会のどちらになるかを明確に推測することはしていなかった。結果として2018年現在を見てみると、より複雑な社会になり考えることは多く、政治における争点は多岐にわたっている。そしてこれからも、この安定した(世界的な大戦がない)社会では、政治における争点は多岐にわたっていくと考えられる。
あとがき
工学の分野での問題解決方法の探索と違って、政治では事前情報のみで複雑な問題解決の方法を検討していく点が非常に難しいなと思いました。また、投票のパラドックスは民主制の一つの明確な問題であることも今回の勉強を通して理解することができました。
後は、争点がいっぱいあるし政治用のSNSできないかなぁと思いました。政治(政党/政策)もぐるなびとかFilmarksみたいなレビューを行い共有することで若者も巻き込めるのではないかと思います。一方でFaceBookは政治関連の記事を全消去していることを考えると、SNSとの相性(公平性)が悪い一面もあるとは思います。
勉強まとめ:政治-始めまとめ
20歳も4年ほど過ぎようとしたところで政治を勉強し始めました。これから勉強をまとめ、整理するためにブログにします。
以下、今回の目次
以下2点が主な理由です。
- より良い社会にしたいと思ったため
日本の国民の義務に”政治への積極的な参加”なんてないけれど、様々な小説や映画、歴史の勉強を通して自分で政治を考える責任を感じました。現代の日本社会は、(広くみた)過去や他の途上国、紛争地域に比べるとはるかによい社会だと感じています。このような素晴らしい社会は、先人達が失敗しながら、時には争いながらも、しっかり向き合って築き上げてくれたからだと思います。しかしながら、未来の子孫に渡すには問題山積みな社会だと思います。たかが一票ですが、自分が納得のいくより良い社会にする方向に票を投じたいと思いました。 - 正しくありたいから
多分、今の自分の倫理観/思考は何世紀か後の人達の倫理観/思考からしたら間違を含んでいる可能性が非常に高いと思っています(e.g. 奴隷貿易を現代の人々が惨いを思うように)。また、様々な政治の争点の中で新しく生まれたものだけが正しいとは限らないので(e.g. WW1後の全体主義)自分が納得のいく正しい方向に票を投じたいと思いました。
- 主に参考にする文献
図書館でいくつかパラ読みをして以下の文献を参考にすることにしました。
久米郁夫、川手良枝、古城佳子、田中愛治、真渕勝著、”政治学(New Liberal Arts Selection)”、有斐閣、2003年12月20日初版
- 今後まとめる上で考慮すること
- 参考文献に倣い”主権者/国民(本人)が政府(代理人)を雇って本人の利益の実現を行う”ことを念頭に置く
- 時事的な政治についてではなく、政治”学”についてまとめる
時事的な争点等もそのうちまとめたいですが、暫し学問として...
あとがき
とまぁ政治学も勉強し始めたからまとめなきゃと思い始めた。研究と並行して色々勉強するだけで時間が足りないと感じるから、働き始める前にやっぱり色々勉強した方がいいなと思いました(研究の手を抜くわけではないけど、国際学会2回も出てるし修論のネタはもうあるのでモチベーションが低いのです)。